よくある質問
Q&A「依存症」について
「依存症」といいますと、これまでは「アルコール」や「薬物」を連想されましたが、最近は様々な「依存症」が問題視されています。そこで「依存症」について改めてご説明しましょう。「依存症」とは「何か」に心を奪われ「わかっちゃいるけどやめられない」状態になることです(スーダラ節より)。人が「依存」する対象は様々ですが、代表的なものに、アルコール・薬物もさることながら、ギャンブル・インターネット、買物・窃盗、性行為・性犯罪など多種多様あります。このような特定の物質や行為(プロセス)に対し、「わかっちゃいるけどやめられない」にできない状態をいわゆる依存症といいます。重要なことは、本人・家族が苦痛を覚えているか、生活に困っているかどうか、生じてないかというということです(参考、厚生労働省ほか)。
いずれも「脳と心の病気」であり「ドーパミン神経回路」の異常活性と考えられています(下図参照)。「快」を求めるのは自然なことですが、「病気」となると「抑制」が効かず、止めどなく「快」を求めます。その結果、薬物や行為を異常な程に求める訳です。そこで、治療としては「ドーパミン」を抑制する薬物を求めるか、「前頭前野」の働きを高める訓練を行うことになります。前者の薬物が “SDA. Serotonin-Dopamine Antagonist”, 後者が「認知行動療法 CBT. Cognitive-Behavioral Therapy」をはじめとした精神療法・心理療法になります。
しかし、回復は「一筋縄」では進みません。「七転び八起き」と言っても過言ではないでしょう。本人もさることながら、家族や周囲の人々も困っている方々が少ないものですから、「環境調整」など「社会療法」も欠かせません。そして、医療機関のみで回復には至らず、いわゆる「自助グループ」へ参加することが不可欠です。どうしてか「自助グループ」への参加を拒まれる方が少なくなく、「画竜点睛を欠く」状態で足踏みされています。ご本人曰く、自分はそれ程、重症ではないと思っていらっしゃるようで、参加されることで重症化するのではないかという誤解を抱いている場合もあるようです。依存症に特有とされるある種の「否認」と考えられます。
依存症に限らず、あらゆる精神疾患の回復に必要な過程に疾患の「受容」がございます。すなわち「その方の置かれた状況に対し、変化や抵抗をせず、その過程や状況を理解するよう努めること、その多くは否定的で不快な状況である」と言われています。さらに、自助グループのはじまりであり、世界中で最も普及していると言われている “AA. Acoholics Anonymous”における回復の第一条は「私たちはアルコールに対して無力(powerless)であることを自覚した(admitted)-自分自身の生活がコントロール不能(unmanageable)である」と明言されています。これは「アメリカ心理学会 American Psychological Association:APA」も公認しており、普遍的な事実と言ってもよいでしょう。