よくある質問
Q&A摂食障害とは
摂食障害(ED. Eating Disorder)とは、神経性無食欲症・拒食症(AN. Anorexia Nervosa)と神経性大食症・過食症(BN. Bulimia Nervosa)に大別されます。
拒食症は1.意図的で持続的な体重減少、2.症状として食物選択の制限、過度の運動、嘔吐や下痢の誘発、食欲誘発剤や利尿剤の使用を特徴とします。
過食症は1.発作的に繰り返される過食、2.体重コントロールへの没頭、3.過食とそれに続く自己嘔吐や下剤の使用、4.体系や体重に必要以上の関心を持つ、5.拒食症の既往を持つことが多いことを特徴とします。
1960年代より「スリムな体型がステキだ」という価値観が現れました。そこで、「自分は価値がない」と思っている人はダイエットをすることにより自己価値を高めようと試みるようになったのです。
過食症では自傷行為、性的逸脱、自殺企図、暴力行為など行動化(Acting out)が多発します。境界性パーソナリティ障害と自己愛性パーソナリティの合併例が数多く認められています。このような場合、摂食障害はパーソナリティ障害の部分症状として治療を行います。
Hilde Bruchは「これは食欲の病気ではありません。人からどう見られるのかということに関連する自尊心の病理です」と指摘しました。他者との関係の中で、「見下されるのか、見下すのか」「勝ち負けの世界」の生きているのです。現代の過食症は、自分が嫌い、頑張れないといったネガティブな自己意識に裏打ちされた「せめて痩せていないと取り柄がない」という思考にとらわれています。
家族背景は様々ですが、共通するのは養育早期に甘えの断念を自ら行い、子どもの自分を積み残したまま、次の発達段階に移行していることです。過食が習慣化するのは幼児期に断念した甘えの再獲得を再現するからです。
このため治療の目標は拒食や過食を止めることもさることながら、その背景にある自己意識を修正することです。すなわち、他人からどう思われているのかと意識すること、他人と違った特別な存在であること、自分が常に自分以上であり続けなければならないこと、等身大の自分を受け容れられないこと、取り柄のない自分という思い込むこと、勝ち負けにこだわること、見下すか見下されるかという関係にしばられること、社会的に見栄えのよい職業について自立しなければならないと思うことなどです。
精神科ニューアプローチ5パーソナリティ障害・摂食障害より