よくある質問
Q&A「ストーカー:殺意の深層 悲劇を防ぐために NHKスペシャル」より
昨年、被害件数が過去最悪の2万件を超えたストーカー事件。凶悪事件が後を絶たない中、注目を集めているのが“加害者へのアプローチ”だ。被害を防ぐために、加害者の心理を解明し、その危険性や要因を見極め、犯行にいたる行動や意識を変えていくという模索が始まっている。多くの場合は、警察による警告や処分などで収まるが、数パーセントから1割程度の加害者が、警告を聞かず殺意を全うさせようとするという分析もあり、対策は急がれている。今回、番組ではストーカー加害者に焦点を当て、その心理の研究を続けてきた専門家やNPO、対策に乗り出した警察などを取材。海外の先進事例も紹介し、ストーカーが殺意に向かっていく“心の闇”を紐解いていく。ストーカーはなぜ生まれるのか、加害者は何を考えているのか、事件を未然に防ぐためには何が必要なのか、検証する。
番組に関する情報を掲載しております。
「NHK NEWS WEBホームページ ストーカー被害2万件」
桶川ストーカー殺人事件、逗子ストーカー殺人事件、そして三鷹ストーカー殺人事件と世間を震撼させる「ストーカー殺人事件」が続きました。「ストーカー」とは、ある特定の人物へのつきまといをする行為をする者とされ、大半が「失恋」による「逆恨み」によるようです。小早川明子さん/NPO法人ヒューマニティの著書「『ストーカー』は何を考えているか」によると以下のように定義されています。
①確固たる心理的動機があり、正当性を妄想的に信じ込んでいる
②相手を一方的に追いつめ、迷惑をかけて苦しめていることをを自覚しながらも、相手に好意を持たれる望みをかけている
③その望みが絶たれた、心のバランスは憎しみに反転し、自殺または相手を殺害することもある
いずれの障害も、あらゆる精神障害に共通する「遺伝×環境」の因子によります。不安・焦燥・抑鬱・憤怒などを生じやすい気質と幼少期からの親子関係の不全です。特に指摘されているのは、「心身への虐待」や「過保護・過干渉」といった不適切な親子関係です。境界性人格障害の場合は虐待のような明らかな「暴力」を受けて育ち、自己愛性人格障害の場合は過保護・過干渉のような「条件づけの愛情」のもと育てられたケースが多いようです。これらは精神医療では DSM. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 精神障害の診断と統計マニュアル/アメリカ精神医学会においては、Cluster B 人格障害 (劇的群、感情の混乱が激しく演技的で情緒的なのが特徴的、ストレスに対して脆弱で、他人を巻き込む) と分類され、福祉領域では「AC. Adult Children アダルト・チルドレン」(機能不全家族、家庭内不和にて育ったため、成人後も様々な心的外傷を引きずり、心身・行動の問題を生じやすい)と定義されています。
番組では小早川明子さんが加害者と電話やメールを交わし、時には誹謗・中傷されながらも、めげることなく、徹底的に話し合う姿が放映されていました。そしてご著書にその手順が以下のように紹介されています。
①ストーキングは違法行為であることを教える
②どんな時でも、常識は伝え、言い放つ
③被害者の気持ちを伝える、多くは接触を止めて欲しいということ、理由も伝える
④被害者に伝えたいこと、聞きたいことがあれば私を通すように依頼する
⑤直接の連絡はつきまといになること、止めなければ警察に通報すると伝える
#警告、または逮捕されたのちもカウンセリングを継続する
⑥双方の債権債務の整理をする(被害者にも落ち度がある場合がある)
⑦こだわる細部をともに検討し、答えである「鍵」を見つける
⑧感情は、所有者である自分自身に処理する責任があることを徹底理解させる、相手に感情処理の責任を持たせようとする立場から降りるのを待つ
⑨相手に依存する心理、もとからあるコンプレックスや孤独を受け容れるサポートをする
⑩解放の「扉」の先=未来の風景について話を聞く